「湘南新宿ライン」のなぜ!? 遅延と運休が多い・回復が遅い理由は?

群馬県・栃木県・埼玉県から渋谷・新宿の副都心を経由して、神奈川県まで乗り換えなしで、1本で行ける便利な「湘南新宿ライン」。

なんでこんなに遅延と運休が多いんだろう…
なんでこんなに回復が遅いんだろう…

と普段利用される方なら1度は思ったことがあるのではないでしょうか? 今回はその疑問を解明していきます。

なぜ、遅延と運休が多いのか?

それは、複数の路線に乗り入れていること、これが最も大きな要因です。

「湘南新宿ライン」 というのは、実は路線ではありません。湘南新宿ラインは、複数の路線を相互直通するJR東日本の電車の愛称であって、正式な路線ではないのです。(自前の線路を持っていないということです。)

湘南新宿ラインは以下の2系統があります。

  • 高崎線(高崎駅~大宮駅)東海道線(大船駅~小田原駅)を相互直通する系統
  • 宇都宮線(宇都宮駅~大宮駅)横須賀線(大船駅~逗子駅)を相互直通する系統

画像出典:Wikipedia (By Puorgrj投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, Link)

「高崎線と東海道線を相互直通する系統」には「特別快速」と「快速」の2種別、「宇都宮線と横須賀線を相互直通する系統」には「快速」と「普通」の2種別の、合計4種別があります。

そして、これらそれぞれの系統の路線を相互直通させる、すなわち大宮駅から大船駅までを結ぶために、「埼京線」の一部(山手貨物線)やその他複数の貨物線や支線に乗り入れています。

(正式には「埼京線」も湘南新宿ラインと同様にJR東日本の電車の愛称であって、正式な路線ではないのですが、ここでは話を簡略化させるために1路線として見なします。)

つまり、湘南新宿ラインは貨物線を除いて、高崎線、宇都宮線、東海道線、宇都宮線、埼京線の5路線を走行していることになります。そのため、これらの乗り入れ先である路線の1路線でも遅延や運休を引き起こしてしまうと、全体に影響を及ぼしてしまいます。

結果、その路線を乗り入れする湘南新宿ラインは、車両トラブルを除けば、巻き込まれてしまうことによって、必然的に遅延や運休が発生してしまうのです。

遅延の回復が遅い理由は?

高崎線、宇都宮線、東海道線、宇都宮線、埼京線の5路線で発生する遅延により、湘南新宿ラインがその影響を受けて、遅延や運休を取らざるを得ない事態になってしまうということを申し上げましたが、実は回復が遅い理由もこれら5路線の影響を大きく受けているからです。

理由1:湘南新宿ラインの回復は二の次

まず、5路線共通から言える理由ですが、遅延の回復における順番は、その路線に所属する電車(乗り入れではない電車のこと)が優先されます。例えば、東海道線なら東海道線の電車、埼京線なら埼京線の電車といった具合です。

すると、そちらばかりに注力されるため、必然的に乗り入れ電車である湘南新宿ラインの回復は二の次となってしまいます。従って、回復に時間がかかるのです。

理由2:湘南新宿ライン特有の事情

2番目の理由として、湘南新宿ライン特有の事情があります。前章において、大宮駅から大船駅までを結ぶ路線には、埼京線の一部である山手貨物線も含めて複数の貨物線や支線があると指摘しました。まとめると以下の通りです。

  • 東北貨物線・・・大宮駅から田端信号場駅(赤羽駅と池袋駅の間)
  • 山手貨物線・・・田端信号場駅から大崎駅
  • 大崎支線(蛇窪線)・・・大崎駅から旧蛇窪信号場(品鶴線との合流地点、西大井駅付近)
  • 品鶴線(東海道線の支線)の一部・・・旧蛇窪信号場から鶴見駅
  • 横須賀線専用線・・・鶴見駅から大船駅

これらの路線を湘南新宿ラインは走行するわけですが、このうちの「品鶴線(東海道線の支線)の一部」と「横須賀線専用線」が非常に厄介なのです。なぜなのでしょうか?

片側1本の線路に5種類の電車が走行する悲劇

この2路線は横須賀線」と共用しており、その上、湘南新宿ラインの2系統という合計5種類の電車が乗り入れる路線であるからです。

ここで何が問題かというと、種別がバラバラであるが故に停車駅が異なり、また線路も片側1本しかなくその上本数も多いので、遅延等が発生してダイヤが乱れると詰まってしまうという問題が発生してしまうのです。

湘南新宿ラインの「宇都宮線と横須賀線を相互直通する系統」は、横須賀線と停車駅が全て共通なので特に問題は発生しないのですが、「高崎線と東海道線を相互直通する系統」は、武蔵小杉駅、横浜駅、戸塚駅と大船駅以外の駅はすべて通過します。

従って、例えば、遅延によってダイヤが乱れたと仮定して、「高崎線と東海道線を相互直通する系統」の湘南新宿ラインが横浜駅から戸塚駅に向かおうとしても、その間の保土ヶ谷駅と東戸塚駅を停車する「横須賀線」に追いついてしまった場合、追い越すことができないので、速度を落とすなりして調整しなければなりません。すると、必然的に回復に時間がかかってしまいます。

もしくは、こうした事態が発生した場合、「高崎線と東海道線を相互直通する系統」の湘南新宿ラインは、本来通過するはずの西大井、新川崎駅、保土ヶ谷駅と東戸塚駅に臨時停車をする措置を取ることもあります。もしそうなれば、たちまち回復の見込みは見えてこなくなるでしょう。

2019年頃には相鉄線と品鶴線が直通運転することが予定されています。このことによって、さらに乗り入れ電車が増えることになり、遅延によってますます混乱を引き起こすかもしれません。

横須賀線の電車と合流する旧蛇窪信号場の悲劇

湘南新宿ラインが、品鶴線から大崎支線(蛇窪線)、あるいは大崎支線(蛇窪線)から品鶴線に乗り入れる際の合流地点である「旧蛇窪信号場」も非常に厄介です。

画像出典:Wikipedia

この「旧蛇窪信号場」というのは、品鶴線(東海道線の支線)との合流地点ということもあり、横須賀線の電車と合流します。湘南新宿ラインを毎日利用されている方は、大崎から横浜方面に向かって発車してしばらくすると、「この先ポイント通過のため大きく揺れる場合があります。お立ちのお客様はつり革や手すりにおつかまりください。」という車掌のアナウンスを聞いたことがあるのではないでしょうか。

そのポイントは、まさにこの「旧蛇窪信号場」のことを指しています。この合流地点において、遅延が発生していない時刻表通りのダイヤで運行されていれば、湘南新宿ラインも横須賀線も当然互いにぶつかり合うことはありません。

ところが、この「旧蛇窪信号場」の合流ポイントは湘南新宿ラインにとって不利なつくりになっています。

画像出典:Wikipedia ライセンスに基づき画像を加工済み(脚注)

写真から分かるように、大崎駅方面に向かう湘南新宿ラインは、横須賀線の電車が走る品鶴線の下り線を跨がなければなりません。従って、横須賀線に遅延が発生すると、湘南新宿ラインはこの合流ポイントで待たされる羽目になってしまい、結果的に遅延の発生、そして回復に遅れが生じてしまうのです。

いかがだったでしょうか?

便利な「湘南新宿ライン」を支えるその裏にある複雑な運行形態。複雑さが増せば増すほど、遅延などのトラブルには弱いものです。

いざ、なくなってしまうと困る「湘南新宿ライン」の存在。遅延が発生しても、そっと見守ってあげてくださいね!